雅楽を聴きながら宮廷文化に浸る|京都御所


雅楽

京都御所は平安時代(794年)から明治時代(1869年)まで千年以上天皇のお住まいでした。2025年春の特別公開として宮廷文化の紹介が開催。雅楽を聴きながら宮廷文化に浸りましょう。

1000年以上天皇のお住まいだった京都御所

京都御所は平安時代から明治時代まで天皇のお住まいでした。大正天皇や昭和天皇が即位の礼を行った場所。明治政府の基本方針である「五箇条の五誓文」を発令。徳川将軍家の処分を決める「小御所会議」が開かれました。現在は人生の節目の祝う(慶事)茶会が開催。平安時代から様々な時代の建築様式が見れます。  

2025年特別公開「宮廷文化の紹介」

京都御所は一年を通して誰でも訪れることができます。申し込みは不要、入場料無料の宮内庁所管の施設です。春と秋に特別公開が開催されます。2025年春の特別公開「宮廷文化の紹介」は2025年2月26日から3月2日まで。190点ある杉戸絵の中から梅をテ-マに3点を初公開。牛車や装束の展示や雅楽と蹴鞠が行われました。

初公開の杉戸絵

杉戸絵は杉材の板戸に絵が描かれている間仕切りのことです。今回梅をテーマに「梅に鷹」「白梅」と「白梅に音呼」の3点が初公開されました。3点とも1855年に描かれたもの。

「梅に鷹」説明
「梅に鷹」説明

姫宮御殿の杉戸絵「梅に鷹」は勝山仲衡作です。姫宮御殿は皇女のための御殿。

杉戸絵「梅に鷹」
杉戸絵「梅に鷹」

鷹の羽や表情などが緻密に描かれています。

「白梅」説明
「白梅」説明

「白梅」は小御所の杉戸絵です。畑南嶺が描いたもの。小御所が火災にあった時職員により持ち出され難を逃れました。

杉戸絵「白梅」
杉戸絵「白梅」

白梅は白い顔料で立体的に表現されています。

「白梅に音呼」説明
「白梅に音呼」説明

参内殿の杉戸絵「白梅に音呼」は鈴木百年作です。参内殿は皇族や大臣などが参内した時に最初に入る場所。

白梅に音呼
白梅に音呼

梅の幹には墨、音呼には青色と緑色の岩絵具が使われています。

牛車や装束の展示

江戸時代後期の牛車や武官と文官が即位の礼で着た衣装が展示されています。

御車寄
御車寄

牛車は平安時代の貴族の乗り物です。車の箱の表面に八葉の紋が描かれています。後ろから乗り前から降りるそうです。

牛車
牛車

承明門の所に装束が展示されています。

承明門
承明門

承明門は公卿らが参入口として使う重要な門です。奥に見えるのが紫辰殿。

承明門左右に装束展示
承明門左右に装束展示

伊東久重作の人形による装束が展示されています。武官と文官が即位の礼で着た衣装です。

威儀の者と威儀物捧持
威儀の者と威儀物捧持者

威儀の者とは正殿の正面で警備の任に当たる者のことです。武官の装束を着ています。威儀物捧持者は太刀を持った文官の装束。大正、昭和天皇の紫宸殿での即位の礼での装束です。

威儀の者と威儀物捧持
威儀の者と威儀物捧持者

生け花の展示

日本古来の伝統のいけばなが展示されています。嵯峨御流や月輪未生流など。嵯峨御流は平安時代の嵯峨天皇の自然や草木を慈しむ思いが礎になっています。

雅楽の演奏

青空の下、春典殿の前広場で雅楽の演奏が行われました。雅楽は日本最古の古典音楽。2009年ユネスコの無形文化遺産に登録されました。

雅楽
雅楽

宮内庁式部職楽部が奏でる優雅な雅楽に合わせて舞う舞楽。

雅楽
雅楽

静かな舞です。

雅楽
雅楽

龍頭の面をつけ勇壮に舞います。華麗です。

雅楽
雅楽

京都御所の見どころ

京都御所は清所門から入ります。

清所門
清所門

まず荷物の検査があります。

京都御所へ
京都御所へ

朝の静けさを感じながら京都御所へ進みます。

襖絵が印象的な「諸大夫の間」

諸大夫の間は参内した人が控える部屋です。身分に応じて控える部屋が違います。東から順に「虎の間」「鶴の間」「桜の間」が並んでいます。

諸大夫の間
諸大夫の間

虎の間は格付けが高い人の控えの間です。

虎の間
虎の間

虎の間の襖は岸岱作です。うずくまる虎や水を飲む虎が描かれています。

諸大府の間「虎の間」
諸大府の間「虎の間」

鶴の間は殿上人が控える部屋。鶴は4面の襖に37羽描かれています。

鶴の間
鶴の間

鶴の間の襖は狩野永岳作です。優美な鶴が描かれています。

鶴の間
鶴の間

桜の間は格付けが最も低い人の部屋です。

桜の間
桜の間

桜の間の襖は原在照が描きました。御学問所や御常御殿など77面の障壁画を描いています。満開の様子が華やかです。

桜の間
桜の間

最も格式が高い「紫宸殿」

紫宸殿は最も格式が高い正殿です。即位の礼などが行われました。

承明門を通して見る紫宸殿
承明門を通して見る紫宸殿

紫宸殿は1868年の「五箇条の御誓文」が発布された場所です。平安時代の建築様式。向かって右側に「左近の桜」まだ桜は咲いていません。

左近の桜
左近の桜

向かって左側に「左近の橘」。保護のため囲いがしてあります。

右近の橘
右近の橘

春の特別公開に併せ中が少し見れるようになっています。

紫辰殿の内部
紫辰殿の内部

天皇の御座である「高御座」と皇后の「御帳台」が置かれています。

高御座と御帳台
高御座と御帳台

紫辰殿から清涼殿、小御所、御学問所へ

紫辰殿から道順に沿って進みます。殿上の間。殿上の間は殿上に昇ることを許された位の高い人の詰め所です。

殿上の間
殿上の間

清涼殿は平安時代から天皇の日常のお住まいとして使われた御殿です。お住まいは1590年に御常御殿に移りました。平安時代中期の建築様式。向かって左が漢竹、右が呉竹です。

清涼殿
清涼殿

小御所会議が開かれた小御所です。明治維新の時小御所会議で将軍への処置が決まりました。実用的な建物です。

小御所
小御所

御学問所は御読書始や和歌の会などが行われた場所です。

御学問所
御学問所

見事な庭園の御池庭や御内庭   

御池庭は池を中心とした回遊式の庭園です。前田玄以が作り小堀遠州が整備。自然石は州兵を表現しています。欅橋が印象的ですね。

御内庭は遣り水が流れています。橋、灯籠や庭石がある情緒あるお庭です。

最も大きな建物である「御常御殿」

御常御殿は天皇のお住まいです。1590年に清涼殿の常御所が独立したもの。

御常御殿
御常御殿

御常御殿の杉戸に「老人と唐子に松」が描かれています。

杉戸絵「老人と唐子に松」

御常御殿は儀式や対面の場としても使われていました。儀式に使われる「上段の間」、「中段の間」や「下段の間」。寝室の「御寝の間」など15部屋ある最も広い御殿です。

御常御殿
御常御殿

京都御所の基本情報

名称京都御所
住所京都府京都市上京区京都御苑内
営業時間9:00~15:50(最終退出16:30)
休業日月曜日(祝日の時は翌日)カランダーを確認
公式HP京都御所HP
アクセスGoogle map
地下鉄鳥丸線「丸太町」「今出川」
駐車場あり(有料)
所要時間平均的な所要時間は1時間

京都御所から京都御苑を散策

京都御苑は京都御所を含め京都仙洞御所や京都迎賓館を含む緑豊かな約100ヘクタールの公園です。京都御所を出て公園を散策します。

京都御所の鳥丸通側
京都御所の鳥丸通側

京都御苑はかつて公家屋敷が立ち並んでいた場所です。テニスコートや休憩所もあり多くの地元の人に親しまれています。

京都御苑
京都御苑

京都御苑の案内図。

京都御苑案内図
京都御苑案内図

京都御苑には9つの門があります。

下立売御門
下立売御門

京都御苑には180本の梅が植えられています。2025年2月下旬梅林の梅はようやく咲き始めた頃でした。

京都迎賓館京都仙洞御所の参観はガイドツアーのみ行われています。公開日程等公式HPで確認して下さい。なお京都迎賓館は有料のガイドツアーです。

京都御所まとめ

京都御所は宮廷文化が感じられる人気の観光場所です。申し込みが要らず無料で参観できます。2025年春の特別公開では杉戸絵の初公開、牛車の展示や雅楽の催しが行われました。


カテゴリ: 日本の旅文化 

執筆者のプロフィール

執筆者:立花みゆ

最初の海外旅行はニューカレドニア
帰りの飛行機はダブルブッキング
シンガポール経由で帰る羽目に...

現在暮らすように旅する生活を
模索中

カテゴリー

ページの先頭へ